社団医療法人の機関について① ~社員総会~

機関設計の基本枠組み

医療法人の運営においては、組織としての意思決定・執行・監督を担う「機関」が設けられます。
これは株式会社における株主総会や取締役会に相当するものであり、法令に基づきその設置・権限・手続が細かく定められています。

社団型医療法人においては、社員総会、理事、理事会、監事を必ず置かなければならないとされています。

社員総会について

1.位置づけ
社員総会は社団型医療法人の最高意思決定機関である。社員(従業員とは異なる)は法人の構成員であり、総会において法人の根幹に関わる事項を決定する。

2.招集
① 理事長は、少なくとも毎事業年度に1回、定時社員総会を開催しなければならない。
② 必要と認めるときには臨時社員総会を招集できる。
③ 総社員の5分の1以上(定款で緩和可能)の請求があったときは、理事長は20日以内に臨時         社員総会を招集しなければならない。

3. 招集通知
① 社員総会を開く際には、開催日の5日前までに、日時・場所・目的事項を記載した招集通知を発する必要がある。
② 通知の方法は定款で定める。

4. 議長
① 議長は社員総会において選任される。
② 議長は会議の秩序を維持し、発言を整理し、必要に応じて秩序を乱す者に退場を命ずることができる。

5.決議
① 社員総会が決議できるのは、法律または定款に規定された事項に限られる。
② 招集通知に記載された事項についてのみ議決可能であり、その他の事項については議決できない。
③ 社員は各1議決権を持つ。
④ 定足数は総社員の過半数の出席、決議は出席者の過半数で決する。
⑤ 可否同数のときは議長が決定する。
⑥ 特別の利害関係を有する社員は議決に参加できない。
⑦ 書面議決や代理人による議決権行使も認められる。

6.議事録
① 社員総会の議事については議事録を作成しなければならない。
② 記載事項は、日時・場所・議事経過・決議内容・出席理事・監事の氏名、特別利害関係を持つ社員の氏名、監事の意見など。
③ 議事録は10年間、主たる事務所に備え置く。
④ 議事録の写しは5年間、従たる事務所に保管する。
⑤ 社員および債権者は、議事録の閲覧や謄写を請求できる。

7. 説明義務
① 社員は社員総会で理事や監事に対して説明を求めることができる。
② 理事や監事は社員から特定の事項について説明を求めれれた場合、必要な説明をしなければならない。ただし、法人の利益を著しく害する場合や他の社員の権利を侵害する場合には、この限りではない。

8.社員名簿
① 法人は社員名簿を備え置き、変更があれば遅滞なく修正しなければならない。

まとめ

医療法人の機関の基本は社員総会にあります。
社員総会は最高意思決定機関として法人の根幹を決める役割を担い、その適切な運営は法人の信頼性と社会的評価を支える基盤です。
株式会社と異なり、営利を目的としない医療法人では公共性と公益性を重視した意思決定が求められます。

次回は、理事会と理事長、そして監事の監督機能について解説します。

行政書士は、医療法人が健全に運営される心強い伴走者として、サポートいたします。

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