社団医療法人の議事録について

なぜ医療法人の議事録が要るのか

医療法人における議事録は、意思決定の適法性と説明責任を担保する「証拠」の核です。
社員総会での基本方針や役員選解任、理事会での業務執行判断など、後日監査・所轄庁対応・紛争対応のすべてで参照されます。条文・通知に沿った必須記載、備置・閲覧体制、電磁的記録の要件まで含めての運用を解説します。

社員総会の必須記載

社員総会の議事録では次を落とさないことが重要です。

①開催日時・場所(会場外からの出席があれば方法も)。
②議事の経過要領と結果。
③決議を要する事項について特別利害関係を有する社員があるときは、その氏名。
④監事の意見・報告の要旨(該当時)。
⑤出席した役員等の氏名。
⑥議長の氏名
⑦議事録作成事務担当者の氏名。

近年多いのがオンライン出席の記載漏れです。
通信手段・確認方法(本人確認・表決方法の扱い)まで簡潔に残すのが安全です。

理事会の議事録

① 作成の原則(書面/電磁)
理事会では、議事録を書面又は電磁的記録で作成します。
電磁的記録で作成する場合は、作成者の同一性を示し、改変の有無を確認できる技術的措置(電子署名等)を付すことが必須です(紙の「署名又は記名押印」に相当する要件)。
② 署名等(誰がサインするか)
書面で作成したときは、出席した理事(定款で代表理事等に限定できる場合あり)および監事が署名又は記名押印します。
電磁的記録のときは、これらに代えて電子署名等を付与します。
③ 記載事項(最低限の中身)
• 開催日時・場所(オンライン開催の場合は会場外出席の方法まで)
• 議事の経過の要領及びその結果(主要意見の要旨、賛否の帰趨)
• 特別の利害関係を有する理事の氏名。
• 出席した理事・監事の氏名、議長、議事録作成を担った理事等の氏名。

保管・閲覧体制と電磁化の実務

議事録は、主たる事務所で10年間備置し、従たる事務所には原則5年間写しを備置します。電磁的記録を採る場合、
閲覧・謄写については、社員総会議事録は社員・債権者に業務時間内の閲覧請求権があり、理事会議事録は裁判所の許可を前提に限定的な閲覧・謄写が認められる構造です。

まとめ

議事録は「何を決めたか」だけでなく「どう決めたか」を再現する記録です。
社員総会と理事会での必須記載を押さえ、署名(または電子署名)・備置期間・閲覧体制まで一貫したルールを整えることで、法令順守とガバナンスの実効性が高まります。
自法人の実情に合わせて条文趣旨に即した追記・運用設計を行い、監査・所轄庁・金融機関・訴訟のいずれにも耐える議事録を整備しましょう。
医療専門行政書士は、議事録作成のサポートをいたします。

    ⇩
「すぎばやし行政書士事務所ホームページ」