東京都における「医療法人の運営・管理」について② ~会議運営と議事録~

1.会議運営と議事録


医療法人の健全な運営を支える柱のひとつが「会議体」です。社員総会、理事会は、医療法人の重要事項を決定する場であり、その開催と議事録の整備が求められます。

しかし日々の診療業務に追われる現場では、会議運営は後回しにされがちで、監督庁の指導でも最も指摘を受けやすい分野の一つです。さらに医療法人では、役員だけでなく「社員」(社団医療法人における出資者や構成員で従業員とは異なります)も重要な役割を担っており、その権利と責任を踏まえた意思決定が不可欠です。

本記事では、会議運営と議事録の基本、社員の位置付けを含めたポイントを整理します。

2.社員総会の役割と社員の位置付け


社団医療法人では「社員」が法人の構成員として位置付けられ、株式会社における株主に近い立場を持ちます。社員総会は法人の最高意思決定機関であり、定款変更、役員選任・解任、重要財産の処分など重大な事項を決議します。

社員は議決権を1人1票ずつ有し、議決権の行使は平等に扱われます。これは出資額や経歴にかかわらず一律であり、法人運営の公平性を支える仕組みです。

社員総会は招集権者である理事長が会議を招集します。臨時総会については、社員の5分の1以上から請求があれば20日以内に開催する必要があります。開催通知は期日の少なくとも5日前にはその目的事項を示し、定款で定めた方法で行わなければなりません。


また社員には、事業報告書などの書類を閲覧請求する権利も認められています。これにより法人の透明性が担保され、役員による不正や不適切な運営を牽制する機能を果たします。

3.理事会の役割と手続き


理事会は医療法人の業務執行を担う中核機関であり、診療所や病院の運営方針、人事、資金調達、契約などを決定します。

理事長は3か月に1度以上、自らの業務執行状況を理事会に報告し、理事全員が経営状況を把握できるようにする義務があります(ただし、定款で毎事業年度に4か月超える間隔で2回以上と定めた場合は、この限りでない)。


理事会の招集は原則として各理事が招集することができますが、招集する理事を定めるときはその理事が招集し、開催通知は1週間前(これを下回る期間を定款で定めた場合にあってはその期間)までに送付しなければなりません。

4.議事録の整備と保存義務


会議が適正に開催されても、議事録がなければ法的証拠としての効力は十分に発揮されません。議事録には、開催日時、場所、出席者、議案内容、決議結果を明記し、議長および出席理事等が署名する必要があり、保存期間は原則10年です。


議事録の不備の監督庁からの指摘事項の多くは、「出席者の署名欠如」「決議方法の記録不足」などのようです。

5.行政書士がサポートします


行政書士が関与できるのは、会議招集通知の作成、社員総会や理事会の議事録作成、署名押印書類の整備、議決に基づく届出や認可申請の書類化などです。特に社員総会に関する議事録は定款変更や役員変更届につながるため、法令や定款の要件に合致した書式で整えることが求められます。


さらに、会議後に発生する手続き、たとえば役員変更届、定款変更届など一連の手続きをサポートします。社員や役員が安心して議決に臨めるよう、準備段階から専門家が伴走します。。

6.まとめ


社団医療法人の意思決定は、社員総会・理事会という会議体によって支えられています。特に社員は最高意思決定機関の構成員として平等な権利を持ち、法人の健全な運営に不可欠な存在です。会議の招集や審議、決議の過程を適正に管理し、議事録を整備・保存することは、法人の法的安定性を守ることにつながります。


診療や経営で多忙な理事長や事務長がこれらすべてを担うことは、大きな労力を強いられることになるのではないでしょうか。行政書士がサポートすることによって、会議運営と議事録の作成・整備といった負担が軽減されます。行政書士は、医療法人が健全に運営される心強い伴走者として、サポートいたします。

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