医療法人設立時の賃貸借契約|個人名義から法人へ引き継ぐ際の確認事項

個人で開設している診療所を医療法人へ移行する際は、診療所の建物に関する賃貸借契約も確認する必要があります。
院長が引き続き診療する場合でも、個人と医療法人は別の契約主体です。法人設立の認可を受けただけで、賃貸借契約が自動的に法人へ切り替わるわけではありません。
この記事では、テナントで診療所を運営している先生に向けて、法人化に伴う契約の確認事項を整理します。

最初に、現在の契約書と更新書類を確認する

まずは、現在の賃貸借契約書に加えて、更新契約書や覚書などをそろえましょう。
特に確認したいのは、次の事項です。

  • 借主・貸主の名義と、管理会社の連絡先
  • 契約期間、更新条件、使用目的
  • 契約上の地位の譲渡や転貸に関する条項
  • 敷金・保証金、連帯保証人、保証会社の取扱い

契約を更新したり、賃料などを変更したりしている場合は、最初の契約書だけでは現在の条件を確認できないことがあります。
診療所とは別に、駐車場や倉庫などを借りている場合も、それぞれの契約を確認します。

貸主には、法人化の予定を早めに伝える

契約書を確認したら、貸主や管理会社に、医療法人化の予定を伝えます。
「借主の名前を変えたい」とだけ伝えるのではなく、個人から医療法人へ診療所の運営を引き継ぐことと、予定している時期を説明すると、確認を進めやすくなります。
主に、次の点を相談しましょう。

  • 現在の契約を法人へ引き継ぐことができるか
  • 覚書で対応するか、新しい契約書を作成するか
  • 法人に切り替えるために必要な資料は何か
  • 審査や書類作成にどの程度の時間がかかるか

必要な手続きは、契約内容や貸主の方針によって異なります。申請直前ではなく、設立準備の段階から確認しておくことが大切です。

賃料だけでなく、敷金・保証人なども整理する

契約を法人へ引き継ぐ際は、賃料や契約期間以外の条件も確認します。
例えば、個人名義で預けている敷金・保証金をどう扱うか、連帯保証人を引き続き求められるか、保証会社の再審査が必要か、といった点です。
追加費用や条件変更がある場合は、設立後の資金計画にも関わります。合意した内容は、契約書や覚書に反映されているか確認しましょう。
敷金・保証金の法人への引継ぎに伴う会計・税務処理は、税理士とも相談して整理します。

東京都の設立認可申請では引継承認書も確認する

東京都の医療法人設立認可申請では、不動産賃貸借契約書の写しや「賃貸借契約引継承認書(覚書)」など、賃貸関係の書類を確認します。
東京都の手引きでは、仮申請の段階では押印は不要とされていますが、覚書などの記載事項については、事前に相手方の確認を取るよう案内されています。
そのため、「押印は後でよいから、貸主への相談も後でよい」と考えず、申請内容について先に確認しておく必要があります。
書類を準備する際は、現在の契約書との整合性、貸主・借主の表示、対象物件、引継ぎの条件などを確認します。最新の様式や提出方法は、東京都の案内をご確認ください。

契約の切替時期は、法人化全体の日程と合わせる

賃貸借契約の切替時期は、設立認可、法人設立登記、法人による診療所開設などの日程を踏まえて調整します。
設立前の段階では法人がまだ成立していないため、将来の引継ぎに関する承認と、成立後の契約手続きを区別して整理することが大切です。
法人化の準備時期については、医療法人設立は申請直前では遅い?準備を始める時期と実務上の注意点もご覧ください。

医療法人設立の準備についてご相談ください

医療法人設立では、申請書類の作成と並行して、貸主、リース会社、金融機関などとの確認を進める必要があります。
すぎばやし行政書士事務所では、現在の診療所の状況を伺い、必要な資料や確認事項を整理しながら、医療法人設立の認可申請をサポートします。

設立の基本的な要件は、医療法人設立の要件とは?個人診療所との違いを行政書士が解説をご覧ください。
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参考資料:東京都「医療法人設立の手引(令和8年6月版)」